The Daily NNA Malaysia版に、弊社代表が寄稿したマレーシアのM&Aに関する連載記事(第82回)が掲載されました。本記事では、マレーシア初のユニコーン企業についてご紹介します。
マレーシアでついに初のユニコーン企業が誕生しました。ユニコーン企業とは、企業価値が10億米ドル(約1,050億円)以上のスタートアップ企業や民間企業のことをいいます。中古車売買サイトを運営するマレーシアのカーサム(Carsome)は、マレーシア人のエリック・チェン氏とテオ・ジウンイー氏によって設立されました。
カーサムは、顧客が自分の車を簡単に売ることができる電子商取引(EC)プラットフォームです。皆さんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。顧客は、カーサムからあらかじめ決められた価格で売却するか、同社のネットワークを持つディーラーによる入札で売却するかを選ぶことができ、車の売却、車検、査定、地元のディーラーとの連携など、全てのプロセスを同社が行っています。日本では、三菱UFJ銀行(MUFJ)と大和証券がそれぞれ組成した2つのファンドから資金を調達したことが発表されています。
以下がカーサムの資金調達活動とユニコーンへの道のりです。

カーサムは、地場同業でオーストラリア上場の自動車ポータルサイト、アイカー(iCar)・アジアの筆頭株主であるカッチャ(Catcha)グループ(30%の株式を保有)から、アイカー・アジアの19.9%の株式を株式交換により取得することに合意しました。株式交換後、カーサムは既存の株主からアイカー・アジアの残りの80.1%の株式全てを買い取る予定です。この取引は2億米ドル以上の価値があるため、カーサムの評価額は10億米ドル以上になるとみられています。
カーサムによれば、アイカー・アジアとの統合により、自動車の年間取引数は約10万台、ネットワークに参加するカーディーラーは13万社以上となり、今年の収益目標が10億米ドルに上るマーケットプレイスが構築される見込みです。
<プロフィル>
神林義之(かんばやし・よしゆき)、ラジフ・ラムザン(Razif Ramzan)