前回は、今年5月に発表された三井物産とエフピコによるマレーシアの食品容器メーカーに対する出資案件と、ジャパンエレベーターサービスによるファシリティーマネジメント会社に対する出資案件についてご紹介しました。今回は、ベンチャー企業のエグジット(出口、投下資本の回収)戦略としての合併・買収(M&A)と新規株式公開(Initial Public Offering=IPO)について検討します。
M&Aは特定の第三者に対して株式を譲渡することで投下資本を回収する方法である一方、IPOの場合、新規に株式を公開することで市場で株式の買い手を探したり、上場前に特定の投資家との間で譲渡契約を締結したりして投下資本を回収することができます。従来日本では、ベンチャー企業のエグジット戦略としてはIPOが一般に目指されることが多かったのですが、近時はM&Aの比率も高まっています。そこで、両者の主なメリット・デメリットをまとめてみます。
