今回は、2022年に発表された日本企業による2件の合併・買収(M&A)案件をご紹介します。
■1. パーソルによる人材サービス会社に対する出資案件
人材サービス大手パーソルホールディングス(東京都港区)は5月24日、マレーシアの同業WOBBに対する出資を発表しました。WOBBは、「Hiredly」というブランド名で若手人材層に向けた求人サイトおよび人工知能(AI)を活用した人材紹介サービスを行っています。
パーソルは1973年に設立され、売上高約1兆円、時価総額約7,000億円、世界13カ国で事業を展開する日本を代表する人材サービス会社で、マレーシアにおいては、米国の大手人材サービス企業であるケリーサービスと合弁でパーソルケリーを運営しており、マレーシアにおける日系の人材サービス会社としては最大規模を誇ります。
WOBBは、首都クアラルンプールで2014年に設立され、19年には日本のベンチャーキャピタルであるCACキャピタルから出資を受け入れています(※1)。WOBBの今年4月21日付プレスリリースによれば、今回のパーソルからの出資により、AIを用いた人材マッチングを加速させ、ジェネレーションY(一般に、1981~94年生まれ)およびジェネレーションZ(1995~2010年生まれ)の世代における人材サービスのリーディングカンパニーとなることを目指しているとのことです。
■2. 乃村工芸社によるデジタルコンテンツ制作会社に対する出資
On 7th 乃村工芸社(東京都港区)は7月7日、マレーシアでデジタルコンテンツを制作するフレームモーションスタジオに出資することを発表しました。
乃村工芸社は、1892年創業、売上高約1,100億円、時価総額約1,200億円、展示施設、商業施設、博物館などのディスプレー企画・設計・施工・運営管理のリーディングカンパニーです。シンガポールに現地法人を有し、マレーシアにおいては日系レストランを集めたJ’s Gate Diningのほか、商業施設「三井ショッピングパーク・ららぽーとブキビンタン・シティーセンター(BBCC)」や百貨店「メトロジャヤ」の店舗の内装などをこれまでに手がけています(※2)。2.
フレームモーションは、2008年にスランゴール州プタリンジャヤで設立され、売上高約2,200万リンギ(約6億8,600万円)、総資産約3,000万リンギの株式会社で、マルチメディアを統合した体験型のイベントやコンテンツの企画制作を行っています。
乃村工芸社の今年7月7日付プレスリリースによれば、同社はフレーム社の6.25%の株式を取得し、デジタルコンテンツ部門の機能強化、リアルとバーチャルを融合させたハイブリッドコミュニケーションの提供を拡充し、デジタルコンテンツ分野での協働による事業拡大と相互発展を目的としているとのことです。