マレーシアのM&A案件 2021年 Part 6 (記事・英文)

こんにちは、Likearisingsun の神林です。今回は、2021 年3月 31 日に発表された富士工業による現地の販売会社の買収事案及び同年 5 月 10 日に発表されたリアルテックファンドによるエアロダインに対する出資案件についてご紹介します。

 

(1) 日本でマーケットシェア一位を誇るレンジフードメーカーである富士工業

i. 1 富士工業による買収

富士工業は、1941 年に神奈川県川崎市で設立されました。1962 年に同相模原市に工場ができ、1974 年には本社も相模原市に移っています。厨房用電気製品一般を生産し、特にレンジフードの製造・販売においては日本のマーケットシェアの過半数以上を占める圧倒的なナンバーワンとして有名です。同社のウェブサイトによると、従業員数は約850 人、売上は 260 億円、相模原市のほかに福島県白河市に工場を有するほか、シンガポールと上海に現地法人を有しています。

(2) マレーシアでの販売代理店であったJK マーケティング

富士工業の 2021 年 3 月 31 日付ニュースレターによれば、JK マーケティングはレンジフードを中心にガスコンロや IH、オーブン、ウォーターヒーターといった富士工業の住宅設備機器を販売してきました。電化製品店で FUJIOHのブランド名で販売されているのをご覧になったことのある読者の方も少なくないかと思いますが、マレーシアでは FUJIOH ブランドは日本発の高品質ブランドとして知られています。

今般、富士工業のシンガポール現法を通じて JK マーケティングを買収し、社名を FUJIOH マーケティングに改名するとのことです。同ニュースレターによれば、富士工業は「引き続き市場ニーズに合わせた商品・サービスを提供するとともに、現在西マレーシアを中心に展開するディーラーネットワークを拡張させ、更なる FUJIOH ブランドの認知向上を図り、マレーシア No.1 ブランドを目指すとのことです。

 

2 リアルテックファンドによるエアロダインへの出資

リアルテックファンドはリアルテックホールディングスにより運営されるファンドで、リアルテックホールディングスはユーグレナとリバネスの合弁企業です。同ファンドは、2021 年 5 月 10 日に、世界第二と評されるマレーシアのドローンサービスプロバイダーであるエアロダインへの出資を発表しました。エアロダインに対しては2019 年 3 月にドローンファンドが、2020 年にはリバネスキャピタルがそれぞれ出資しており、日本との関りを非常に深めています。

エアロダインは 2014 年にマレーシアで設立され、インフラ分野に注力してきました。今後は、プランテーション等の農業分野にも力を入れるとのことで、今回のリアルテックファンドによる資金調達は、日本市場進出及び将来的な東京証券取引所での上場を検討するための戦略的な調達であるとのことです。日本の証券取引所の地盤沈下がかねて叫ばれる中、ぜひエアロダインの東京証券取引所への上場が実現してもらいたいものです。

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