今回も前回に引き続き、2022年に発表された日本企業による2件の合併・買収(M&A)案件をご紹介します。
■1. 住友商事による昆虫由来代替タンパク質製造企業への出資案件
住友商事は10月4日、マレーシアで昆虫由来の代替タンパク質などを製造するスタートアップ企業であるニュートリション・テクノロジーズに出資したと発表しました。
住友商事は1919年設立、売上高約5兆5,000億円、時価総額約2兆6,000億円の日本の5大商社の一つで、中でもペットや畜産動物の健康を守る「動物薬」の分野に特化した事業部を有する日本で唯一の総合商社です。今回の出資もこの動物薬に特化したアニマルヘルスサイエンス部により推進されたもので、既存のネットワークを生かして昆虫由来タンパク質を用いた飼料の開発・販売を行うとのことです。
一方のニュートリション・テクノロジーズは、2015年に元国連職員により設立され、シンガポールに本社を構える会社で、動物飼料として使われる魚粉の代替品としてアメリカミズアブを養殖・加工するアジア最大規模の昆虫由来代替タンパクの工場をマレーシアのジョホール州に有しています。
同社は近隣の工場やプランテーションから出る産業廃棄物を利用しアメリカミズアブを養殖することで産業廃棄物の埋め立て処分量を削減したり、養殖・加工過程で生成される油やフラスを販売し農業・畜産業に活用したりすることによる循環型経済の実現、持続可能な自給自足する世界を目指しています。住友商事の22年10月4日付プレスリリースによると、今後はそれらを利用した化粧品、医療部外品、化学品や有機肥料などの開発にも取り組むとしています(※1)。th January 2022, they will also work to utilize them as materials for developing such as cosmetics, quasi-drugs, chemicals, organic fertilizers etc.i
■2. ブリッジインターナショナルによるマーケティング会社との資本提携
ブリッジインターナショナル(東京都世田谷区)は1月24日、東南アジア諸国連合(ASEAN)に進出する日系企業のマーケティング支援やITサービス事業を手がけるTKインターナショナルと資本提携および業務提携を強化すると発表しました。
ブリッジインターナショナルは2002年設立、売上高約56億円、時価総額約91億円で、インサイドセールスのアウトソーシングや、デジタルトランスフォーメーション(DX)コンサルティング、法人営業システム・ツールの開発などを行っています。
ブリッジインターナショナルは19年よりTKインターナショナルと業務提携しており、アジアをターゲット市場とする企業向けにアウトソーシングサービスを提供していましたが、22年1月24日付プレスリリースによると、今回の資本提携にはデジタルマーケティング事業をさらに強化する狙いがあるとのことです(※2)。th January 2022, this capital alliance aims to enhance digital marketing businesses more.ii
TKインターナショナルはマレーシアを拠点とし、日系企業の海外進出をサポートする14年に設立されたIT企業で、ICT企業にのみマレーシア政府機関から付与されるMSCステータスを有しています。21年には任天堂から業務委託を受けマレーシアにおいて「ニンテンドースイッチ」ゲームソフト開発ツールの販売を行うなど、設立以来ASEANを中心とした海外市場で100社以上の日系企業支援を行っています。
コロナ禍を受けて法人営業のDX化が進み、デジタルマーケティングの運用やコンテンツ制作支援などのニーズが高まる中、今回の資本提携はそれらのソリューションとなり、より良いサービス提供につながることが期待されています。
https://www.nna.jp/news/2433243
[1] https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/topics/2022/group/20221004
[2] https://bridge-g.com/corporate-news/pr_20220123_tk-bridge-partner/