会社・事業の買収・売却に関する記事(第86回)がNNAに掲載されました

The Daily NNA Malaysia版(2022年2月4日)に、弊社代表の寄稿した「会社・事業の買収・売却 第86回 日本のM&A概況(21年)」について掲載されました。今回は、2021 年の 日本のM&Aの動向をご紹介します。

https://www.nna.jp/news/show/2294391

前回は、日本企業によるマレーシアでの合併・買収(M&A)状況をご紹介しました。今回は、2021年の日本のM&Aの動向を振り返ってみます。

以下は、直近4年間の日本企業が関連するM&A件数および金額の推移です(以下、データはいずれもレコフ調べ)。

21年の日本企業が関連するM&A件数は、コロナ禍での交渉停滞が響いた20年に比べ14.7%増の4,280件で、過去最多となりました。このうち、国内企業同士のM&A(IN―IN)が約8割を占める一方、クロスボーダー案件(IN―OUTおよびOUT―IN)も全体の2割程度まで伸びています。

金額面では、日立製作所による米IT企業グローバルロジックの買収が1兆386億円でトップとなりました。その他、日立金属の米投資ファンドへの株式公開買い付け(TOB)による売却(8,100億円)や、パナソニックによる米ソフトウエア企業ブルーヨンダーの買収(7,800億円)など、海外案件が上位を占める形となりました。中でも、IT・ソフトウエア業界のM&A件数は4年連続で過去最多を更新しており、IT人材の不足に加えて企業の選択と集中の動きが加速していることが背景にあるといえそうです。

また、ITやDX(デジタルトランスフォーメーション)関連に加え、近年世界的な潮流となっている「脱炭素」関連も活発になっています。ENEOSホールディングスは再生可能エネルギーの新興企業ジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)を約2,000億円で買収することを発表しました。国内外に60の再生エネルギー発電所を持つJREを傘下に収め、脱炭素を見据えた再生エネルギー事業を本格的に拡大する足掛かりにしていくとのことです。また、東京電力ホールディングスと中部電力が共同出資するJERAは、米液化天然ガス(LNG)事業のフリーポートLNGデベロップメント(FLNG)に約2,800億円を出資すると発表しました。

デジタル技術で生活やビジネスを変革するDX、脱炭素社会に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)、社会環境の変化に伴い事業ポートフォリオを戦略的に変えていくPX(ポートフォリオトランスフォーメーション)など、21年はさまざまな「トランスフォーメーション」の活発化がM&Aにも反映されたといえるでしょう。

年が変わった現在も、国境を越えた人の往来に制約がありますが、筆者が拠点とするマレーシアではウィズコロナ(コロナとの共生)に向けて力強くかじを切っており、国内の人々の活動もコロナ前にほぼ戻りつつあるといえる状態です。M&A取引についても、22年はコロナ前の水準を取り戻すのではないかとみています。

<プロフィル> 神林義之(かんばやし・よしゆき)、ラジフ・ラムザン(Razif Ramzan)

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